韓国ドラマよしなしごと備忘録

韓国ドラマの個人的感想メモです。ラブコメを中心に。あらすじは書いていませんが、ネタバレする部分もあります。

韓国ドラマ感想「その年、私たちは」

「ミスター・サンシャイン」があまりにも濃く激しかったので、次はのんびり、ほっこりした作品をと思い、選んだのがこの「その年、私たちは」だった。

いざ見始めると、予想を上回るゆったりテンポで、正直3話目くらいで離脱しそうになった。

しかし、よっぽどでない限り4話までは見てみるというのが私のポリシー。

なんとか4話まで辿り着いたので、あと少し頑張ってみるかと見続けていると、次第に奥深い味を感じてきたのだった。

「その年、私たちは」作品メモ

ジャンル:ヒューマン、ラブコメ

放送年:2021年~2022年

放送局:SBS

脚本:イ・ナウン

主演:チェ・ウシク (「パラサイト 半地下の家族」「新感染 ファイナル・エクスプレス」)

   キム・ダミ (「The Witch 魔女」「梨泰院クラス」)

 

静かなストーリーほど難易度は高い。

学生時代に付き合っていた男女が5年の時を経て復縁する・・・言ってしまえばそれだけのストーリー、全編通して大きな事件は起きず、ストーリーは波を立てずに進んでいく。

例えるなら「愛の不時着」が太平洋の荒波だとすると、本作は農業用水池並みの静けさだ。

 

悪く言っているように聞こえるかもしれないが、裏を返せば、ストーリーの起伏ではなく心理描写で視聴者を惹きつける方がよっぽど難しく、現に途中で挫折しかけた私を最後まで完走させたのは、各キャラクターの心の機微、それぞれが密かに抱える過去のコンプレックスを克服して成長していく様子がうまく描写されていたからだったと思う。

 

実は最高のケミカップル。

チェ・ウシクとキム・ダミは二人ともビジュアルの方向性が同じというか、ベビーフェイス同士、高校時代の回想シーンも無理がなく、非常に良い組み合わせだ。

 

キム・ダミは「梨泰院クラス」で一躍名を馳せたが、あの奇天烈なキャラや、パク・ソジュンとの組み合わせにはちょっと(いや、かなり)違和感があった。

対して本作の彼女は非常にナチュラルで、前述の通りチェ・ウシクとのカップリングも抜群で、改めて良い俳優さんだと感じたのだった。

 

チェ・ウシクについては、イケメン過ぎないのが最大の武器だと思う。

もちろん褒めてます。

イケメントップ俳優ほど「普通の人」を演じられないものだが、その中で「普通の人」を演じられるチェ・ウシクは非常に貴重な存在だろうし、きっと息の長い俳優さんになるに違いない。

 

薄味を重ねて奥深い味わいに。

心の機微の描写という点では、主人公二人よりもむしろサイドキャラの方にグッとくる場面が多かった。

 

親友と同じ人好きになるが、それを長らく秘め続けるジウン。

そのジウンを陰ながらに想っている職場の後輩チェラン。

トップアイドルという立場ゆえどこかに寂しさを抱えるNJ。

それぞれのサイドストーリーも決して濃い味ではないのだが、レイヤーとして重なり合うことによって、噛みしめると深い味わいのある作品になっているのだった。

 

チェランとジウン、ウンとNJ、それぞれにもう一波乱欲しかったのだが・・・

いやいや、それではこの作品の京懐石のような味わいが台無しになってしまう。

これで良いのだ。