「五月の青春」があまりに良すぎて、絶賛イ・ドヒョン祭中の私。旬なのは「ザ・グローリー」なのだろうが、内容的にちょっと気分ではないので、彼が俳優として大きくステップアップした「18アゲイン」を観てみることにした。
「18アゲイン」作品メモ
ジャンル:家族愛、ファンタジー
放送年:2020年
放送局:JTBC
脚本:キム・ドヨン、アン・ウンビン、チェ・イリュン
主演:キム・ハヌル (「Happy Together」「ロマンス」)
ユン・サンヒョン (「シークレット・ガーデン」「ショッピング王ルイ」)
イ・ドヒョン (「Sweet Home」「ザ・グローリー」)
ツッコミどころが多いストーリーは置いておこう。
37歳の冴えない夫がふとしたきっかけで18歳に若返るという設定で、37歳現在をユン・サンヒョン、昔の回想部分と若返った現在(18歳)をイ・ドヒョンが演じている。
全編に渡ってツッコミどころ満載の本作品、もう敢えてそこには触れまいとは思うが触れずにはいられないのがイ・ドヒョンからユン・サンヒョンへの経年変化問題だ。
ドラマをよく見ていると、現在から10年前の回想はイ・ドヒョンだが、8年前の回想はユン・サンヒョンに変わっているのがわかる。その間2年で一体何があった?と思うくらいの変貌ぶり。
今回ユン・サンヒョンを久し振りに見たのだが、「シークレット・ガーデン」の頃に気になっていた「割と高めのトーンでがなり立てる」セリフ回しは健在、説教臭い父親という設定で消化され、しかもその一本調子な感じがイ・ドヒョンによって見事に再現されていた。すごい。
いやいや、もともとユン・サンヒョンも甘い2枚目キャラで、キムタク似時代の十年ちょっと前には日本でもコンサートツアーをするなど、アイドル歌手/俳優であったことは間違いない。
そこから時が経ち、甘さを残したまま年を重ねたが故に渋いイケオジ路線には行けない感じが、本作の主人公ホン・デヨンと絶妙に重なり、実はベストな配役だったのかもしれない。
ダイヤの原石のような若手に注目。
そんな経年変化問題や、デヨンはいつの間に元に戻った?などなど、前述した通りストーリーには随所で粗さが目立つ作品なのではあるが、一方で若手キャストには恵まれていて、ダイヤの原石のような若手がいっぱいの鉱山のような(?)作品でもある。
イ・ドヒョンを筆頭に (彼については後述)、「女神降臨」で気になったファン・イニョプもいたし (しかも「女神降臨」と似たような役回り)、デヨンとダジョン夫妻間の双子、シウをリョウン、シアをノ・ジョンウィ、シアに想いを寄せる同級生ジホをボミン、など、これからブレイクしそうなオーラがプンプン出ていて、またどこかの作品で会えるのが楽しみだ。
イ・ドヒョンを考える。
さて、イ・ドヒョンである。2021年の百想芸術大賞の男性新人演技賞を受賞しているし、本作品での演技が高く評価されていることは言うまでもない。
2017年デビューとのことだが、わずか3年後の本作品で主役&賞受賞という、まさに彗星のごとく現れたスターと言える。
この作品中で目に焼き付いたシーンや感動した瞬間を振り返ると、それらは全てイ・ドヒョンのパートであった。ひいき目かもしれないが、ひいきを差し引いてもやはりそうだということは百想芸術大賞の受賞が証明していると思う。
高校生カップルだったデヨンとダジョン、思いがけずダジョンが妊娠し、二人は夢を諦め「親になる」という選択をする。
しかし未成年で子持ちの二人に世間の風は厳しく・・力仕事や居酒屋のバイトをこなす若きデヨンが、どうにもこうにも生活が苦しくなり、バイト先の店長に給料の前払いを懇願するが断られ、帰りのバスの中で泣くシーン。
更にデヨンを迎えに来たダジョンがその姿を目撃し涙する・・・お金がない苦しさと、それをどうにもできない情けなさと、この選択が正しかったのか分からない困惑とがないまぜになった二人の涙は本当に胸を打った。
もう一つ印象的なシーンを。現在のターンで若返ったデヨン(ウヨンという名前で生活)は高校に通い、息子であるシウと親友として付き合う。シウはいじめにあっており、好きなバスケも諦めていたが、若デヨンの励ましで生活に変化が起こりバスケ部にも入部、更にはその才能を見いだされ大学からスカウトが来るに至った。
そんな嬉しいニュースをコーチから聞いたシウがまず報告したのは、ダジョンと離婚し疎遠になっていたデヨンだった。
実は直前まで若デヨンはシウと一緒にいて、コーチからも一緒に話を聞いていた。
シウから少し離れた場所でシウからの電話に出る若デヨン。
「次の試合を見に来てほしい」と言われたのだが、もちろん今の姿では会いに行けず・・・さっきまで友人として会っていたのに、父として会いに行けない・・・このジレンマを、セリフも多くない中で十分感じさせられたのだった。
と、イ・ドヒョンの印象的なシーンは多々あるのだが、もっと単純な萌えシーン、例えば幼子を抱えて病院に行ったりや保育園にお迎えに行くシーンなど、「こんな若いイケメンパパいいなー」という場面も散りばめられていて、やはりこのドラマは色々な意味でイ・ドヒョンが堪能できる。
まだ語り足りない。私の「イ・ドヒョンを考える」はたぶん、まだまだ続くと思う。