財閥御曹司ラブコメ+当代一の美男美女キャスティング・・・私の最も好きなタイプの作品の放送開始をかなり前から待ち焦がれていた。
それ故に期待しすぎたのかもしれない。ラブコメを愛するがこそ、今回はちょっと苦めのコメントを。
「キング・ザ・ランド」作品メモ
ジャンル:ロマンティックコメディ
放送年:2023年
放送局:JTBC
脚本:チェ・ロム
主演:ジュノ (「赤い袖先」「キム課長とソ理事」)
ユナ (「ビッグマウス」「コンフィデンシャル/共助」)
ラブコメの醍醐味とは。
常々思っている通り、ラブコメの設定はベタで構わない。
イケメン財閥御曹司、一目惚れされる一般女子、財閥家の複雑な人間関係に、幼少期のトラウマ・・・。
伝統芸能ともいえるその「型」を使って、キャスティングや演出でいかに個性を出し視聴者を引き込むかがラブコメの醍醐味と言える。
私の中でその最高峰に君臨している作品は、今のところ「社内お見合い」(2022年) だ。
そして次席は「キム秘書はいったい、なぜ?」(2018年)。
ちなみ「社内お見合い」は好き過ぎて、何リピートも見ているが、なかなか感想が書けずにいる。
この作品の何が素晴らしいのかは、いつかまた。
キャスティングは大事だが、それだけでもダメだ、と。
さて今回の「キング・ザ・ランド」は、主演二人の組み合わせを見た時から、よもや「社内お見合い」を超えるでは!?と期待が高まっていたのだが・・・。
眼福という点では間違いなく満点なのだろうが、逆に眼福だけに頼っていると言わざるを得ない内容であった。
二人の甘いシーンに顔アップを多用するのは構わないとはいえ、必要以上に長いジュノのアップ画面は、ジュノファンには堪らないかもしれないが、ストーリーを楽しみたい派には冗長に感じられる。
あと、ストーリーの進展に特段関係のないタイ旅行のくだりも不要であった。
そんなこんなで、作品に今一つスピード感がなく、かといって人物の心情を細やかに描写しているわけでもなく、なんとも中途半端で引っ掛かりのない感じ、が素直な感想である。
たかがラブコメ、されどラブコメ。
視聴者は登場人物の何かに共感し、そして人物に感情移入し、それが感動へと繋がる。
定番型の御曹司ラブコメであったとしても同様だ。
最初は興味のなかったヒロインにだんだん惹かれていく御曹司の心情や、身分違いの恋愛に心揺れつつも覚悟を決めるヒロインの心情に触れることにより、二人の思いが通じ合った時に自分ごとのように感動できるのだ。
残念ながら「キング・ザ・ランド」にはその描写が不足していて、ジュノとユナが綺麗だったという印象しか残らなかった。
一番心を打たれたのは、結婚を決めた二人がサラン (ユナ) の祖母に報告に行ったシーン。
普段強気で口の悪いおばあちゃんが泣き崩れた。
一人で孫娘を育ててきた苦労と、孫娘が幸せを掴んだ喜びが、その涙に込められていたのだった。