転生、財閥御曹司、幼少期のトラウマ・・・と設定は韓国ドラマの定番だけど、ピッタリはまったキャスティングでど真ん中に剛速球を投げると、心に刺さる佳作になることを改めて教えてくれた作品だ。
「生まれ変わってもよろしく」作品メモ
ジャンル:ロマンス、ファンタジー
放送年:2023年
放送局:tvN
脚本:チェ・ヨンリム
主演:シン・ヘソン (「30だけど17です」「哲仁王后」)
アン・ボヒョン (「梨泰院クラス」「ユミの細胞たち」)
「梨泰院クラス」からは想像できない優しいアン・ボヒョン。
交通事故により12歳で人生を終えることになってしまったジュウォン。
パン・ジウムとして生まれ変わり、前世で心残りな別れをしたソハを探し出す。
ソハ高校生、ジウム小学生の時に一度接触するが、その後ソハの消息がわからないまま時が流れ、大人になったジウム (シン・ヘソン) に財閥後継者となったソハ (アン・ボヒョン) と再び近づくチャンスが訪れる。
その「再び近づく」方法が、かなりのグイグイ系だ。同じ財閥グループとはいえ別の会社へ力づくで異動し、上司となるソハとの面接で「判断に迷うなら、私と付き合ってみませんか」と迫る。
前世でのソハとの絆が裏付けとなってその自信が出てくるのだろうが、いくらなんでもグイグイ行き過ぎる感じに最初はちょっと引いてしまった。
それをギリギリセーフな感じに中和したのは、演じるシン・ヘソンのさっぱりとした雰囲気だ。
そしてそのグイグイに流されていく優しいソハをアン・ボヒョンが演じる。
アン・ボヒョンといえば、圧倒的に「梨泰院クラス」の敵役の印象が強烈すぎ、ちょっと三白眼なビジュアルも相まって、繊細な役柄は難しいのではないかと思っていたが、かなり痩せて挑んだというソハ役が結果的にかなりハマっていた。
振り幅の広い役者さんを見るのは非常に面白い。
サブカップルの二人は今後要ウォッチ。
今回、私は主役カップルよりもむしろサブカップルの方に惹かれた。
まず成長したジュウォンの妹役のハ・ユンギョン。
「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」で見せたバリキャリ女性弁護士がハマリ役だと思っていたが、今作で一転、ちょっとドジで天真爛漫な資産家令嬢がこれまたピッタリなのだ。
私の一番好きなシーンである、好意を寄せるハ・ドユンに対して「私はいかが?」と聞くところは本当にキュート。
そのハ・ドユンを演じるのはアン・ドングだ。
ちょうど少し前に見た「その年、私たちは」に出ていて気になっていたところ、本作品で再びお目にかかった。
こちらも「その年、私たちは」の時のコミカルな役柄から一転、苦労して生きてきたドユンの「心の重し」を感じさせる演技が素晴らしい。
巷では「パク・ソジュン」に似ていると言われるアン・ドング。
確かにかなり似ているのだが、いまやビッグスターになってしまったパク・ソジュンが失った何かを持っているような気がし、今後もウォッチしていこうと思う。
やっぱりキャスティングって大事。
作品自体というよりは役者さんについてばかりの話になってしまったが、つまり、設定やストーリーに既視感があって「ベタ」に感じたとしても、ぴたりとハマったキャスティングと役者の力で超高速のストレートボールとなる、ということ。
その時の「ベタ」は最強なのだ。